洗濯洗剤の解説と比較実験の記事です!
今回は「エマール」と「さらさ」の解説・比較です。
この2つの洗剤の共通点は、漂白剤や蛍光増白剤を使用していないため、比較的肌に優しいという特徴があります。
どちらの洗剤がより洗浄力が優れているのか、安全性が高いのか、より肌への刺激を抑えるにはどうしたらよいか、などを中心に解説します。
この記事の内容
- 2つの洗剤それぞれの特徴
- 2つの洗剤の洗浄力の違い
- エマールの意外な効果
成分など
エマール
- 界面活性剤21%
- 安定化剤
さらさ
さらさと比較してエマールの方がよりシンプルな構成となっていることがわかります。
安定化剤とは、沈殿や分離を防いだりする役割のもので、ほとんどの洗剤に含まれている成分です。洗浄力に直接的な効果はありません。
洗浄力に関係するもので大きく異なる点は、「酵素」が含まれているか否かです。
酵素は多くの場合、タンパク質を分解する働きのある酵素が含まれています。これにより血液などのタンパク質系の汚れは、さらさの方が落としやすいと言えます。
界面活性剤の詳細
少しマニアックですが、それぞれに配合されている界面活性剤の種類について解説します。
エマールは1種類なのに対し、さらさは4種類ありますね。いろんな種類が使われているから良い/悪いといった区別は特にありません。
問題はどんな種類の界面活性剤が使われているかなんです。
エマールの方のポリオキシエチレンアルキルエーテルは、ノニオンという区分に分類される界面活性剤で、安全性が比較的高いとされています。
さらさにも同じものが含まれていますね。
さらさの方は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを除いて、全てアニオンという区分に分類される界面活性剤です。
アニオン界面活性剤は、ノニオン界面活性剤と比較して、洗浄力は強いものの、肌や衣類への刺激が強いことなど、安全性は低めです。
液性
エマールとさらさの液性(pH)をそれぞれ測ってみました。
どちらの洗剤もパッケージには中性と記載されていますが、実際のところは果たして...
上の画像の通り、どちらも6〜7の間といえますので、中性ですね。
パッケージに記載の通りで安心しました(笑)。
汚れ落ちという意味では、アルカリ性の方がよく落ちますが、そのぶん肌への刺激など安全性に劣ってくる面があります。
中性では優しく汚れを落とすため、一定の安心感はあるかもですね。
実験
概要
実験方法は、まず白い布切れに汚れ(皮脂汚れや食べ物汚れ)の代わりとして、ラー油を1滴を付着させます。
なぜラー油かと言うと、油汚れは皮脂汚れよりも強い汚れですが、成分としては基本的に同じなため、日常生活で一番つきやすい皮脂汚れの代替という理由です。
そして2つのコップにそれぞれ同量の水を入れ、洗濯機のようにそれぞれ同じ回数かき混ぜ、20分ほどおいた後に取り出す、というものです。
使う洗剤の量については、エマールをスプーン1杯基準としてさらさの量を決めます。
それぞれのパッケージに洗剤の使用推奨量が記載されています。
- エマール:水30Lに40mL
- さらさ:水30Lに26mL
この比率で計算すると、エマールを1とした時にさらさは0.65となります。
なので使用する洗剤の量はざっくり以下のようにします。
エマール:さらさ = 1杯:0.6杯
結果
洗浄実験前が画像の上側、実験後が下側です。ご覧の通り、さらさの方が汚れが落ちるという結果となりました。
エマールの方も汚れは薄くなっているものの、さらさには劣りますね。
界面活性剤の解説でも説明したように、さらさはアニオン界面活性剤を主とした構成になっているため、油汚れに対して絶大な効果を発揮します。
エマールはノニオン界面活性剤のみでしたから、この違いが結果に寄与したと考えられます。
さらさについては、より詳細な分析・解説を "洗濯洗剤「さらさ」の洗浄力や成分を徹底分析!デメリットも...?" でしていますので、よければ。
ニオイ
主観ではありますが、ラー油の臭いがどれだけ残っていたか、それぞれご紹介します。
通常、汚れ落ちが良いほどニオイ落ちも良いです。
しかし今回の実験ではその限りではなく、エマールで洗浄した方がラー油臭が薄くなっているように感じました。
洗剤自体の匂いが強いことが作用した可能性はあります。
というのも、さらさは洗剤自体の匂いが弱く、やさしい柑橘系の香りなのに対し、エマールはどちらかというと香水のような強めの香りだからです。
とはいえ、洗剤の匂いがニガテでなければ、匂い対策としてエマールを洗濯するのもアリだと思います。
ニオイ落ちを重視する場合、漂白という選択肢もあります。
色柄物にも使える漂白剤を、普通よりも効果的に使うやり方を "洗濯しても取れない、頑固な臭いも確実に落とす!ワイドハイター粉末タイプの効果的な使い方" で解説しています。よければ読んでみてください。