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洗濯と掃除を効率的に!ズボラでも楽チンに!

あの洗剤、実は中身が同じ!?【塩素系洗浄剤の闇】

塩素系洗浄剤 洗剤

カビ取りを中心に、様々な汚れの洗浄を目的として用いられる塩素系洗浄剤。

メーカーも様々な商品を展開していますが、実はこれらの中身の成分はほとんど同じなんです!
中には全く同じ成分の内容で異なる商品として販売をしている物もあります(同一メーカーで)。

いかに同じ成分構成なのか、どういう使い方をすれば良いのか、おすすめの商品などを紹介していきます。

 

この記事で比較する商品

成分を比較するのは以下の商品です。
※企業にお金を貰っている訳では無いので、辛口で紹介していきます。

 

各商品の成分構成

それぞれの商品ラベルに記載されている成分を紹介します。
(各公式サイトなどに詳細な成分情報が載っていることもありますが、大きく変わらないため、商品ラベルを採用しました)

 

パイプユニッシュ

 

パイプユニッシュPRO

 

スクラビングバブルトイレクリーナー

 

ドメスト

 

パイプハイター

 

どの商品もだいたい同じ成分構成

上の成分紹介で、どの商品も使われている成分の種類は同じだったことがわかります。

の3つでした。

実際には、より詳細な成分に「香料」や「色素」、「防錆剤」などといった成分もわずかに含まれている商品もこの中にはあります。

とはいえ、ラベルに記載されている成分が主な働きをする成分であることは間違いないので、どの商品も似たり寄ったりであることがわかります。

 

成分が全く同じ商品

上で紹介した商品の中に、成分が全く同じな商品がありました。

それはパイプユニッシュPRO」と「スクラビングバブルトイレクリーナー 」です。

どちらも、水酸化ナトリウム 2%、次亜塩素酸塩、界面活性剤(アルキルアミンオキシド)という成分構成で、記載順も全く同じでした。

試しにそれぞれの商品の公式サイト(スクラビングバブルパイプユニッシュ)を確認しましたが、ここでも全く同じ成分が記載されていたので、詳細な成分も寸分違わず同じ中身であると言えそうです。

この2つの商品はどちらも、SCジョンソンという会社が作っていることを考えると、同じ生産ラインで作って、ラベルだけそれぞれの商品の物を貼っていると推測することもできます。

 

 

とは言いつつも、各商品には微妙な差がある

先ほどの2つの商品は成分が全く同じという例でしたが、他の商品については主成分が同じでも濃度に違いがあります。

濃度が少し異なるだけでも、汚れを落とす力が大きく変わってくるので、軽視はできません。

濃度が1番わかりやすい成分として「水酸化ナトリウム」があります。
商品ラベルにパーセントが記載されています。

一番濃度が低いのは、花王の「パイプハイター」で1%です。
反対に一番濃度が高いのは、SCジョンソンの「パイプユニッシュPRO」と「スクラビングバブルトイレクリーナー 」です。

水酸化ナトリウムは濃度が高いほど危険で取り扱いには注意しなくてはいけませんが、そのぶん洗浄力や殺菌力が強くなり、高い洗浄力が期待できます

 

まとめとおすすめ

メーカーは違ど、どの商品もだいたい同じ成分でできていることがお分かりいただけたと思います。

この記事で取り上げたのは、トイレ洗浄剤と排水パイプ洗浄剤でした。
これらの成分構成が似ているということは、排水パイプ用の洗浄剤をトイレに使用しても差し支えない、そういう風に解釈することも可能です。

実際に私自身、パイプユニッシュPROをトイレ掃除に使用したことは何度もあります
特に問題なく使えましたし、汚れもしっかり落ちていました。

塩素を含んだ洗浄剤は経年劣化するため、数年で効果が半減してしまいます
排水パイプの掃除なんてあまり高頻度で行わない人も多いと思うので、トイレ掃除にも同じ物を使用する方法はおすすめです。

(もちろん用途別に複数本ご購入されるのもご自身の自由ですが)

 

おすすめの洗浄剤

今回ご紹介した商品の中で、特におすすめなのは「パイプユニッシュPRO」と「スクラビングバブルトイレクリーナー」です!

これらは成分が全く同じということは先ほども紹介しましたが、汚れを強力に落とす成分である水酸化ナトリウムの濃度が高いのがおすすめの理由です。

また、粘度が高いことも特徴的で、汚れに密着する時間が長いほど洗浄力を発揮する時間が長いため、汚れがしっかり落ちます。

中身は同じなので、いつも比較的安く売られているスクラビングバブルの方をご購入することをおすすめします

 

塩素系洗浄剤を選ぶ時の注意点

洗浄成分の濃度と粘度は、商品を選ぶ時に特に気を付けるべき点と言えます。

汚れに働きかける時間が長ければ長いほど、その成分の濃度が高ければ高いほど、汚れがよく落ちます。

ここで敢えておすすめ出来ない商品をお伝えする必要はないので、名指しでの言及は避けておきます。
が、水酸化ナトリウムの濃度が一番低かった商品などは、正直あまりおすすめできないコスパの悪い商品ですね。。

【粉洗剤 vs 液体洗剤】アリエールの2タイプを徹底比較!

アリエールバイオサイエンス
洗濯洗剤アリエールの、「粉タイプ」と「液体タイプ」の解説・比較です!

それぞれの洗剤の分析や、汚れを付着させた布をそれぞれ同じ環境下で洗浄実験を行った結果をご紹介します。

粉の方が強そうというイメージを持っている人も多いでしょうが、果たして...!?

 

成分などの比較

粉タイプ

  • 界面活性剤 18%
  • 工程剤(硫酸塩)
  • アルカリ剤(炭酸ナトリウム)
  • 水軟化剤
  • 漂白剤
  • 漂白活性化剤
  • 酵素
  • 蛍光増白剤

 

液体タイプ

  • 界面活性剤 27%
  • 安定化剤
  • アルカリ剤
  • 分散剤
  • 水軟化剤
  • 蛍光増白剤
  • 酵素

 

粉と液体で成分に差のある点が多いですね。

ざっくり差をまとめると、「界面活性剤の濃度」「漂白剤の有無」の2つになります。

界面活性剤の濃度は液体の方が濃度が高く、9%の差があります。
配合されている界面活性剤の種類も差がありますが、これについては後述します。

そして漂白剤は粉タイプのみに配合されています。
洗濯洗剤に用いられる漂白剤は、酸素系の漂白剤であることが多く、アリエールも例外ではありません。

この漂白剤は、洗剤が粉タイプであることやアルカリ性であることから、過炭酸ナトリウムと考えられます。

過炭酸ナトリウムは、オキシクリーンなどにも使われている酸素系漂白剤で、色柄物にも使用でき、漂白力もしっかりあるものとして広く使われています。

 

界面活性剤の詳細

それぞれの界面活性剤について解説します。

商品ラベルに記載されている界面活性剤の種類は、それぞれ以下の通りです。

粉タイプ

 

液体タイプ

  • ポリオキシエチレンアルキルエーテル
  • 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩
  • 純せっけん分

 

どちらにも配合されている直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩は、アニオン(陰イオン)の界面活性剤に分類され、洗浄力が高いものの肌への刺激は強めな界面活性剤です。

液体タイプの残り2つの界面活性剤についてです。

まずポリオキシエチレンアルキルエーテルは、ノニオン(非イオン)の界面活性剤に分類され、洗浄力もそこそこあり、肌への刺激はマイルドなものです。

純せっけん分は、その名の通り皆さんご存知の石鹸です。
石鹸も界面活性剤の1つで、脂肪酸塩と表記されることもあります。どちらも同じものです。

純せっけん分は、アニオン(陰イオン)の界面活性剤に分類され、洗浄力は比較的高めで、泡切れは良いですが、肌への刺激は比較的強めです。

 

液性

洗剤(原液)のpHを測ってみました。
粉タイプの方はpH試験紙で原液を測ることが出来ないので、液体タイプのみご紹介します。

pH

pH は、7〜8ぐらいでした。

どちらかと言うと8に近い色味なので、弱アルカリ性と捉えることができます。

商品ラベルにも液性は弱アルカリ性とあったので、その通りですね。

アルカリ性といっても、pHは8〜10までの幅があるんです。
pHが1でも違うと、汚れ落ちも変わってくるので、意外と大事な要素なんです。

アリエール(液体タイプ)は8だったので、弱アルカリ性の洗剤の中では比較的弱めです。

 

実験で洗浄力比較

実験経過

概要

この実験方法は、まず布を用意し、その布に汚れ(皮脂汚れや食べ物汚れ)の代わりとしてラー油を1滴を付着させます。

なぜラー油かと言うと、油汚れは皮脂汚れよりも強い汚れですが、成分としては基本的に同じなため、日常生活で一番つきやすい皮脂汚れの代替という理由です。

そして2つのコップにそれぞれ同量の水を入れ、洗濯機のようにそれぞれ同じ回数かき混ぜ、30分ほど放置するというものです。

 

使う洗剤の量

洗剤量

それぞれのパッケージに記載されている使用推奨量から比率を計算し、実験に使用する洗剤の量を決定しています。

記載の推奨量はこの通りです。

  • 粉タイプ:水30L に 36.5g
  • 液体タイプ:水45L に 45mL

つまり比率で言うと以下のようになります。

粉タイプ:液体タイプ = 1.2:1

なので実験に使用する量はわかりやすく、粉タイプを 1.2g、液体タイプを1mLとします。 

※使用する水の量は300mLほどのため、推奨量よりも3倍ほど高い濃度ですが、比較が目的なのでご了承ください。

 

結果

実験結果

洗浄実験前が画像の上側、実験後が下側です。汚れ落ち度合いは、ほとんど同じ結果となりました!

肉眼でも差が見られなかったので、粉タイプと液体タイプでは洗浄力に差がないと言えます。

過去の洗浄実験でも様々な種類の洗剤を試していますが、洗浄力の点でアリエールは最も優秀な部類に入ると言えるでしょう。

 

ニオイ落ち

洗浄実験後の布のニオイを嗅いで、どちらの方がよりニオイが落ちたのか判定しました。
(※あくまで主観となるので、ご容赦を。。)

結論から言うと、粉タイプの方がニオイ落ちは良かったです!

ラー油のニオイがどれだけ残っているかで優劣を判定するのですが、粉タイプの方はほとんどラー油のニオイが残っていませんでした。

液体タイプの方もラー油のニオイを一定は落としていたものの、粉タイプほどは落ちていない印象を受けました。
しかし、粉タイプが9割の消臭力とすれば、液体タイプは7割ほどの感覚だったので、液体タイプでも十分な効果と言えると思います。

 

まとめ(考察とおすすめ)

汚れ落ち・ニオイ落ち共に良かったのは粉タイプでした。

やはり漂白剤の有無が、この結果を左右したのかなと思います。

配合されている界面活性剤は、どちらのタイプも強力なものが配合されていたので、肌トラブルを避けるためにもすすぎは2回行うことをおすすめしておきます。

中には、粉洗剤の溶け残りなどが気になる人もいると思います。
その心配は正しくて、時期によっては粉洗剤をおすすめできない場合もあります。

しかし逆に言うと、時期によっては液体洗剤よりも粉洗剤の方がおすすめなんです!
詳しくは以下の記事で解説していますので、よければ▼

 

【エマール vs ヤシノミ】洗濯用液体洗剤を徹底比較!

エマールとヤシノミ洗たく洗剤

洗濯洗剤の解説と比較実験の記事です!

今回は「ヤシノミ洗たく洗剤」(ヤシノミ)と「エマール」の解説・比較です。

この2つの洗剤は、どちらも洗浄成分が界面活性剤のみという点で共通しています。

多種多様な成分が入っていない分、肌への刺激が優しいのが特徴的です。

どちらの洗剤が、より洗浄力があるのか、肌への刺激が弱めなのかを中心に解説していきます。

 

まずは成分などを比較

エマール

  • 界面活性剤21%
  • 安定化剤

 

ヤシノミ洗たく洗剤

  • 界面活性剤 32%
  • 安定化剤

 

どちらの洗剤も、界面活性剤と安定化剤のみで非常にシンプルな構成です。

安定化剤というのは、洗剤の成分の分離や沈殿などを防ぐ効果のあるもので、洗浄力を左右する成分ではありません。

洗浄成分として働くのは界面活性剤で、それぞれの商品で濃度が異なります。

ざっくり言ってしまえば濃度が高ければ、それだけ汚れ落ちも良くなるのが界面活性剤のため、より濃度の濃いヤシノミの方が汚れ落ちが良さそうにも思えます。

しかし、単純に洗剤の使用量を増やしてしまえば濃度も上がりますので、成分表記だけではどちらが洗浄力が高いかは判断できません。

配合されている界面活性剤の種類によっても、洗浄力や肌への影響度合いが変わってきますので、これが洗剤選びの難しいところです。

 

界面活性剤の詳細

それぞれの界面活性剤について解説します。

どちらの商品についても、公式サイトに記載されている界面活性剤の成分が以下の通りです。

エマール

  • ポリオキシエチレンアルキルエーテル
  • ポリオキシアルキレンアルキルエーテル
  • アルキルアミドアミン

 

ヤシノミ

 

どちらにも含まれている、「ポリオキシエチレンアルキルエーテル」と「ポリオキシアルキレンアルキルエーテル」は、ノニオン(非イオン)界面活性剤に分類される成分で、洗浄力はマイルドなものの、肌への刺激は優しめな特徴があります。

そしてエマールのみに含まれる、「アルキルアミドアミン」はカチオン(陽イオン)界面活性剤に分類され、どちらかと言うと柔軟剤のような成分です。

カチオン界面活性剤は、それ自体にも洗浄力が多少あると言われています。
が、エマールの商品ラベルには「アルキルアミドアミン」の記載が無いので、家庭用品品質表示法の観点から、配合量は 1% 未満とわかります。

なので洗浄力にはあまり影響せず、ほとんど無視してもいいレベルと考えられます。

ヤシノミのみに含まれている、「純石けん分」はアニオン(陰イオン)界面活性剤に分類され、非常に洗浄力があるものの、肌への刺激も強いという特徴があります。

 

液性

エマールとヤシノミ、原液の液性(pH)をそれぞれ測ってみました。

pH

画像の通り、エマールがpH7ほどで中性、ヤシノミがpH9ほどで弱アルカリ性でした。

商品ラベルにも、エマールが中性、ヤシノミが弱アルカリ性と記載があるので、その通りであることがわかります。

一般的に、液性がアルカリ性に傾くほど皮脂汚れなどの汚れ落ちがいいと言われています。

なので液性という観点からは、ヤシノミの方が汚れ落ちが良さそうと予想できます。

 

実験で洗浄力比較

洗浄中

概要

この実験方法は、まず布を用意し、その布に汚れ(皮脂汚れや食べ物汚れ)の代わりとしてラー油を1滴を付着させます。

なぜラー油かと言うと、油汚れは皮脂汚れよりも強い汚れですが、成分としては基本的に同じなため、日常生活で一番つきやすい皮脂汚れの代替という理由です。

そして2つのコップにそれぞれ同量の水を入れ、洗濯機のようにそれぞれ同じ回数かき混ぜ、30分ほど放置するというものです。

 

使う洗剤の量

それぞれのパッケージに記載されている使用推奨量から比率を計算し、実験に使用する洗剤の量を決定しています。

記載の推奨量はこの通りです。

  • エマール:水30Lに40mL
  • ヤシノミ:水45Lに15mL

つまり比率で言うと以下のようになります。

エマール:ヤシノミ = 4:1

なので実験に使用する量はわかりやすく、エマールを4mL、ヤシノミを1mLとします。 

 

結果

実験結果

洗浄実験前が画像の上側、実験後が下側です。エマールの方が汚れが落ちていますね。

ヤシノミは洗浄前後であまり差がないようにも見えますが、若干は汚れが落ちていました。

使用推奨量から比率で計算した洗剤の量でしたが、どちらも水の量に対しては推奨量以上を使用しているため、実際の洗濯ではここまで顕著な差は出ないかもしれません。

とはいえ、この実験からエマールの方が汚れ落ちが良いことがわかりました

 

ニオイ落ち

洗濯ではニオイ落ちも重要ですよね。
実際に洗浄実験後の布のニオイを嗅いでみました。

エマールは洗剤の香りが強く残っていて、ラー油のニオイはあまりしませんでした。
洗剤臭で誤魔化していると言うと聞こえは悪いですが、それでも上手くカバーして、汚れのニオイを防いでくれている洗い上がりでした。

ヤシノミは洗剤自体が無香料なので、洗浄結果がイマイチだった分、ラー油のニオイがほとんどそのまま残っていました。

※あくまで主観なので参考程度に

 

まとめ(考察とおすすめ)

総括すると、今回比較した2つの洗剤では、「エマール」の方がおすすめです。

 

洗浄力ももちろんのこと、ニオイ落ちについても十分な効果を発揮していたかなと思います。

使用されている界面活性剤の種類は、どちらもノニオンが中心でしたが、ヤシノミにはアニオンが含まれている分、肌への刺激が心配な人にはあまりおすすめできませんね。

ヤシノミについては、より詳しく解説した記事がありますので、おすすめできない理由を知っていただけたらと思います▼

 

他のおすすめ洗剤

このブログではいくつもの商品を比較・実験しています。
その中でも個人的におすすめなのは、「さらさ」もしくは「アリエール バイオサイエンス 微香タイプ」です。洗浄力と肌への優しさのバランスがほどよい、というのがおすすめ理由ですね。(P&Gの回し者ではないので安心してください笑)

「さらさ」については、詳細な分析をした記事がありますので、よければ▼

「ヤシノミ洗たく洗剤」の洗浄力や成分を徹底分析!

ヤシノミ洗濯洗剤

「無香料・無着色、すすぎ1回で肌にやさしい」これでしっかり汚れが落ちるのであれば、夢のような洗剤ですよね。

果たして実際のところ、どうなのでしょうか。

この記事では忖度なく「ヤシノミ洗たく洗剤」について、実験・分析を行った結果を紹介します。

 

この記事の内容

  • 成分の安全性について
  • 肌にやさしい、は洗浄力が低いことの裏返し?
  • 洗浄力に重要な「臨界ミセル濃度」
  • ニオイ落ち

 

洗剤の成分を分析

 

まずは洗剤そのものについて、成分やpHなどを測定し、分析していきます。

 

特徴

最近は "すすぎ1回でOK" を売りにしている商品が増えていますよね。
ヤシノミについても、すすぎ1回を謳っているのが特徴的です。

また、肌にやさしいことや、無香料・無着色を大々的に謳っていることも特徴的ですね。

では実際に肌にやさしいのか、成分の観点から分析してみましょう。

 

成分

公式サイトに記載されている成分は以下の通りです。

  • 界面活性剤 32%
    • ポリオキシエチレンアルキルエーテル
    • ポリオキシアルキレンアルキルアミン
    • 純石けん分
  • 安定化剤

成分表示上は香料や着色料が入っていないことがわかります。
といっても、家庭用品品質表示法から含有量が1%未満のものは記載義務がないので、香料・着色料が入っていても知り得ないのですが(笑)。

まあ洗剤の液色が透明で、特にニオイもしなかったので、無香料・無着色なのでしょう!
(入っていた場合は詐欺なので、メーカーも嘘はつかないでしょう)

界面活性剤については、含まれているものが大きく2種類に分けられます。

ノニオン界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミンです。

アニオン界面活性剤が、純石けん分です。

ノニオンは洗浄力が中程度で刺激は低め、アニオンは洗浄力が強い一方で刺激が強め、という特徴があります。

つまり、ヤシノミ洗たく洗剤の界面活性剤は刺激が低めの成分をメインに配合していることになります。

 

pH

ph

洗剤液を実際にpH試験紙で測ってみました。上の画像の通り、9で「弱アルカリ性でした。

ラベルにも弱アルカリ性と記載があったので、その通りですね。

 

洗浄力について

洗浄実験

洗浄力を測るために、実際に比較実験を行いました。
その結果がこちらです。

規定量実験結果

左が実験前の汚れの状態で、右が実験後の状態です。
わずかに汚れが薄くなっていることがわかります。

過去の実験などでも、他の洗剤と汚れ落ち比較をしていますが、ヤシノミは正直言って汚れ落ちがイマイチです。。

(実験の方法など、詳細が知りたい方は、以前の記事などで紹介していますので参照ください)

もし、「洗浄成分の濃度が薄いから、汚れ落ちは悪いけどすすぎは1回でいいよ」ということを前提にすすぎ1回を謳っていたら嫌ですよね。

 

洗浄力が弱いのは使用推奨量が少ない?

ヤシノミは洗濯時の使用推奨量として、ラベルに以下の通り記載があります。

水45Lに対して15mL

最近の高濃縮洗剤は、使用量としてこれぐらいを推奨しているメーカーが多いので、量だけ見ると妥当な気がしてきます。

しかし、どれだけ高濃縮なのかという点に注意が必要です。

というのも、ヤシノミは界面活性剤の含有率が32%ですが、他のメーカーの高濃縮洗剤は界面活性剤の含有率が50%以上もあります

高濃縮を謳っていない、昔からあるような洗剤でも界面活性剤は26%ほどあるのが一般的です。

この点から個人的には、ヤシノミは他のメーカーの高濃縮洗剤と肩を並べられるほどの使用量では無いと思っています。
自己責任にはなりますが、ヤシノミは推奨の倍の量を使用しても問題ないレベルです。

 

臨界ミセル濃度

少し難しい話になりますが、界面活性剤が洗濯物に対してしっかり洗浄力を働く指標として、「臨界ミセル濃度」というものがあります。

洗剤の量が少なすぎると汚れが落ちず、多すぎると何かしら問題が起きるのでは?と思っている人は多いと思います。

そしてこの「臨界ミセル濃度」は、その丁度いい割合、つまり洗剤の丁度いい使用量を知るための目安とできる濃度なんです。

科学的に厳密にやるには計算式とか色々やるみたいですが、今回は簡易的に丁度いい濃度を測ってみます。

 

丁度いい濃度はどれくらいか

臨界ミセル濃度に達すると、水中に結合物(白く濁る)が生まれてきます。これを目安として、メーカー推奨の使用量から何倍が丁度いいのか試します。

臨界ミセル濃度

上の画像は、300mLの水に対して洗剤を、メーカー推奨の使用量の何倍加えたかを表したものです。
ご覧のように、洗剤を加えていない水のみの状態(上段左)から、5倍(下段左)まで、液色の変化はほとんど見られませんでした。

10倍から少し白く濁ってきて、20倍では完全に白く濁っています。

これで、洗浄力を十分に発揮する丁度いい濃度は、メーカー推奨量の10倍ということがわかりました。

 

ミセル濃度の違いによる洗浄力の差

最後に、洗剤使用量による汚れ落ちの違いはあるのかを検証します。

実験方法は先ほどと同様に、汚れた布を用意して洗浄比較を行います。

使用する洗剤の量は、メーカー推奨量のものと、先ほど求めた10倍の量のもので比較しました。

 

実験結果

ミセル濃度実験

実験結果は上のような結果となりました。画像ではわかりづらいですが、僅かに10倍の量を使用した側の方が汚れが落ちていました

しかし、それほど大きな違いにはならず、どちらにせよ汚れはあまり落ちないという結果になりましたね。

  

まとめ

結論、個人的にこの洗剤はあまりおすすめ出来ません
洗濯にとって最重要なのは汚れを落とすことです。油汚れは日常で最もつく汚れの1つであるため、それをイマイチ落とせない結果となったのは残念です。

では洗濯洗剤が全てダメなのかと言うと、そうではありません

他の洗剤には、酵素や漂白剤など、汚れ落としに非常に効果的な成分が入っているものも多く存在しているため、一般的に売られている商品でも良い物もたくさんあります。

過去に比較実験を行った中から、いくつかおすすめをご紹介します。

 

コストは厭わない、汚れ落ち重視

1回の洗濯での使用量が多いですが、汚れ落ちを最重視するのであれば「arau(アラウ)」という洗剤がおすすめです。

石けんベースなので、肌の弱い人は使用の上で注意が必要ですが、詳しく解説した記事がありますので、よければ参考にしてみてください▼

 

コスパ重視、バランス型

汚れもそこそこ落ちて、肌刺激やコストが比較的抑えられるのが「さらさ」という洗剤です。

漂白剤が入っていないながらも、そこそこなパフォーマンスを発揮します。

私も日常使いしている洗剤で、消費者視点から徹底的に分析した記事がありますので、よければ▼

 

ヤシノミ洗たく洗剤とナノックスを徹底比較!【洗濯用液体洗剤】

ヤシノミとナノックス

洗濯洗剤の解説と比較実験の記事です!

今回は「ヤシノミ洗たく洗剤」(ヤシノミ)と「SUPER NANOX」(ナノックス)の解説・比較です。

この2つの洗剤は、意外と共通点がたくさんあって、中性・高濃縮・すすぎ1回OK、といった特徴があります。

どちらの洗剤が、より洗浄力が強いのか、肌への刺激が弱いのかを中心に解説していきます。

 

まず成分などを比較

ヤシノミ洗たく洗剤

  • 界面活性剤 32%
  • 安定化剤

 

ナノックス

  • 界面活性剤 57%
  • 安定化剤
  • pH調整剤
  • 再汚染防止剤
  • 酵素

 

ヤシノミはナノックスと比較して成分がとてもシンプルですね。
安定化剤は、界面活性剤と水の分離を防ぐためなどに使用されているもので、洗浄力に直接影響はしない成分です。

つまり、ヤシノミは洗浄成分として界面活性剤のみ、ということになります。

対するナノックスは、界面活性剤に加え、再汚染防止剤や酵素といった成分が洗浄力に影響する成分として添加されています

界面活性剤の濃度についても、ナノックスの方がヤシノミよりもパーセンテージが高いため、濃いことがわかります。

これらの情報を見る限りでは、洗剤の使用量が同じ場合、ナノックスの方が洗浄力が高いことが予測できます

 

洗浄力と界面活性剤

ここで少しマニアックですが、それぞれの商品における界面活性剤の種類について解説します。
商品ラベルに記載されている界面活性剤は、それぞれ以下の通りです。

 

ヤシノミ

 

ナノックス

 

よく使われる界面活性剤として、大きく2つの区分に分類でき、ノニオンとアニオンがあります。

ノニオンは、肌への刺激が弱く、洗浄力はそこそこ、という界面活性剤です。
アニオンは、洗浄力こそ強いものの、肌への刺激や、環境への影響が一部懸念されているような界面活性剤です。

そしてヤシノミとナノックスのどちらにも、ノニオンとアニオンが両方とも含まれています。

ただし主としている界面活性剤は異なっており、ヤシノミはノニオンを主として構成され、ナノックスはアニオンを主として構成されています。

このことから、比較的肌などに優しいのはヤシノミで、洗浄力が強いのはナノックスである、ということが言えそうです。

 

液性

ヤシノミとナノックスそれぞれ、原液の液性(pH)を測ってみました。

原液pg

上の画像の通り、ヤシノミがpH9ほどで弱アルカリ性、ナノックスはpH7ほどで中性でした。

商品ラベルにも、ヤシノミが弱アルカリ性、ナノックスが中性と記載があるので、その通りであることがわかります。

一般的に、液性がアルカリ性に傾くほど皮脂汚れなどの汚れ落ちがいいと言われています。

なので液性という観点からは、ヤシノミの方が汚れ落ちが良さそうと予想できますね。

 

実験で洗浄力比較

実験

概要

この実験方法は、まず布を用意し、その布に汚れ(皮脂汚れや食べ物汚れ)の代わりとしてラー油を1滴を付着させます。

なぜラー油かと言うと、油汚れは皮脂汚れよりも強い汚れですが、成分としては基本的に同じなため、日常生活で一番つきやすい皮脂汚れの代替という理由です。

そして2つのコップにそれぞれ同量の水を入れ、洗濯機のようにそれぞれ同じ回数かき混ぜる、というものです。

 

使う洗剤の量

公平な実験のため、どのように洗剤の使用量を決めているか解説しておきます。

それぞれのパッケージに記載されている使用推奨量から比率を計算し、実験に使用する洗剤の量を決定しています。

記載の推奨量はこの通りです。

  • ヤシノミ:水45Lに15mL
  • ナノックス:水30Lに10mL

つまり比率で言えば、同じということになります。

なので今回実験に使用する量は、どちらもスプーン1杯としました。

 

結果

実験結果

洗浄実験前が画像の上側、実験後が下側です。正直、ほとんど洗浄力は変わらない結果となりました。。

上の画像では分かりにくいですが、肉眼ではほんの少しだけナノックスの方が汚れが薄くなっていたかなという感じでした。

しかし洗浄力の差こそつかなかったものの、どちらも洗浄前後では汚れ落ちに一定の効果を発揮していることは言えます。

 

ニオイ

洗濯ではニオイ落ちも重要な観点ですよね。
洗浄後の布のニオイを、主観となりますが、ご紹介します。

まずヤシノミについては、ラー油のニオイがほとんど残っていました。
はっきり言ってニオイ落ちは悪いです。

次にナノックスについて、ラー油のニオイもしましたが、ナノックスの洗剤自体のニオイが強く残って、ニオイが入り混じっていました。
ニオイ落ちという意味ではナノックスも悪いですね。洗剤自体のニオイで誤魔化しているのでも良いという人にはいいかもしれません。

 

まとめ(考察とおすすめ)

今回実験比較した2つの商品はどちらもパッとしない結果となってしまったので、正直どちらの商品もおすすめできませんね。

成分的にはヤシノミの方が肌への影響が少なそうと言えることから、強いて勧めるならヤシノミがいいと思います。
ただし、基本的にナノックスよりも値段は高いです。

 

おすすめ

このブログではいくつもの商品を比較・実験しています。
その中でも個人的におすすめなのは、「さらさ」です。洗浄力と肌への優しさのバランスがほどよい、というのがおすすめ理由ですね。(P&Gの回し者ではないので安心してください笑)

「さらさ」については、詳細な分析をした記事がありますので、よければ▼

 

また、ナノックスから乗り換えを検討している人には、とりあえず有名所で「アタックゼロ」を試してみることをおすすめします。

ナノックスとアタックゼロは両方とも高濃縮洗剤で、どちらも有名な商品ですが、それぞれ特徴が全然違うんです。
この2つは比較した記事がありますので、よければ▼